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AIにXの反応を調べさせてブログネタを選ぶ仕組み

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「このネタ、本当に需要あるのかな」。拾い上げられた候補は毎朝ずらりと並んでいるのに、いざ新しい記事の書き出しにカーソルを置くと、この一言でいつも手が止まった。かといって、候補を消す踏ん切りもつかない。書く勇気も、捨てる勇気も出ないまま、リストだけが伸びていく。面白そうに見えても、それが自分の思い込みなのか、世の中でも実際に話題になっているのか、確かめる手立てを持っていなかったからだ。

Future Gear Labでは、GitHub RadarとHacker News Radarという、AIを使ったネタ発掘の仕組みをM1 Mac miniで動かしている。放っておいても毎日、記事になりそうな候補が拾い上げられていく。ありがたい仕組みなのだが、ひとつ困りごとがあった。候補が「拾われている」ことと、その候補が「実際に世の中で話題になっている」ことは、まったく別の話なのだ。

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候補を拾う担当はいた。でも「裏取りする担当」がいなかった

Radarが教えてくれるのは「AI的に見てFuture Gear Lab向きかもしれない」という一次判定までだ。実際にX(旧Twitter)でどれくらいの人がその話題に触れているのか、どんな困りごととして語られているのかは、通知の文面をいくら眺めても分からない。結局は自分の勘で「たぶんいけるだろう」と決め、その勘に自信が持てないまま公開ボタンの手前でためらう。そんなことを何度も繰り返していた。

編集部の役割にたとえると、候補を拾う担当も、記事を書く担当もそろっている。抜けていたのは、拾った候補が本当に話題になっているかを確かめる「裏取り担当」だけだった。ここさえ埋まれば、記事化の判断はもっと落ち着いてできるはずだと思った。

全部を自動化せず、「裏取りだけ」をAIに手伝わせる

そこで決めたのは、ネタ選びを丸ごとAIに任せることではなかった。むしろ逆で、AIに手伝わせるのは「話題になっているかを調べて要約する」という裏取りの一工程だけに絞る。記事にするかどうか、公開まで進めるかどうかの最終判断は、これまで通り自分の手元に残す。全自動ではなく、あえて人間が見る場所を残した半自動。この立て付けが、個人でやる以上はいちばん事故りにくいと考えた。

ネタ選定の流れ:候補を拾う、Xで裏取り、人が最終判断する

具体的には、X公式のMCPサーバーを使い、Claude CodeからXの情報を読みに行けるようにした。MCPは、AIツール(今回はClaude Code)と外部のサービスを安全につなぐための、いわば共通の差込口のようなものだ。このサーバーをM4 MacBook Airで動かし、Claude Codeからは「fgl-x」という名前で呼び出す。つなぎ先は外部に公開したものではなく、自分のパソコンの中だけで動くローカルのMCPサーバーだ。すべて手元の環境の中だけで完結している。

いちばんこだわったのは「できることを最初から減らす」設計

この仕組みで自分がいちばん時間をかけたのは、機能を増やすことではなく、逆に「できることを最初から減らす」ことだった。fgl-xで使える状態にしたのは、投稿を検索したり読み取ったりする6つのツールだけ。いわば「読む専門」の機能である。投稿する、いいねする、リポストする、ブックマークする、フォローする、DMを送る。こうした書き込み系の操作は、あとで我慢するのではなく、そもそも使える状態にしていない。

これは意図的な安全設計だ。「うっかり投稿してしまう」ような事故は、その機能を持っている限りゼロにはできない。気をつけて防ぐより、はじめからできない形にしておくほうが確実だ。だったら最初から持たなければいい、と割り切った。X MCPは「Xに何かを発信する道具」ではなく、「頼んだときだけ読みに行ってくれるリサーチ担当」なのだ。

動かし方も同じ考え方でしぼった。M1 Mac miniで24時間動かしている監視の仕組みには組み込まないし、パソコンの起動時に勝手に立ち上がる設定にも入れていない。使うときにM4で手動で立ち上げ、用が済んだら手動で止める。裏でずっと張り込んでいる監視カメラではなく、呼んだときだけ出てくる担当者、というイメージだ。「読むだけにする」「呼んだときだけ動かす」、そして後で触れる「お金にも上限をつける」。この3つのブレーキを先にかけておけば、そもそも暴走のしようがない。

安全に使う3つのブレーキ:読むだけ、呼んだときだけ、財布の上限

初めて課金して動かした日のこと

実際に初めて動かしたときのことは、地味だがよく覚えている。動作確認を兼ねて、Claude Codeから「Claude Code」というキーワードでX上の投稿を検索してみた。読み取り専用とはいえ、外部のサービスにお金を払いながら自分の仕組みを走らせるのは初めてで、実行する指が少しためらった。

返ってきた結果で、さっそく想定とのズレに気づいた。取得件数は5件に指定したつもりだったのに、実際に返ってきたのは10件。調べてみると、X側には「最小でもこの件数は返す」という下限があるようで、5件と指定しても、今回は10件が返ってきた。細かい話に思えるが、「思ったより多く取れてしまうことがある」というのは、そのままコストにも直結する大事な発見だった。

そのコストも記録しておく。この検索1回でかかったのは0.05ドル。残高は4.95ドルになった。もともとX側の支出上限は10ドルに設定し、上限を超えても自動でお金が追加されないよう、自動チャージはオフにしてある。上限に達したらそこで止まる。これが、さきほど触れた3つ目のブレーキ「財布の上限」だ。1回0.05ドルなら気軽に試せる金額だが、さきほどの「多めに返ってくる」仕様もあるので、今後は1回の調査でだいたい最大30件までに絞る、と自分ルールを決めた。

これは「Xを自動で監視する仕組み」ではない

念のため、はっきりさせておきたい。これはAIが勝手にXへ投稿したり、24時間張り付いて監視したりする仕組みではない。自分がClaude Codeを起動して「これ調べて」と頼んだときだけ、候補の反応を読みに行く読み取り専用のリサーチ担当だ。

AIに任せているのは、検索して反応を集め、要約して材料に整えるところまで。そこから先は自分の仕事にしている。この候補を記事にするか。公開まで進めるか。そして本文や画像に、見せてはいけない情報(自分の環境の内部情報や認証まわりの情報)が紛れていないか。この3つの判断だけは、意識して手元に残している。便利さと引き換えに全部を明け渡さない。個人でやっているからこそ、ここは譲らないほうが結果的に強いと感じている。

個人ブログでも「編集部の判断ライン」は作れる

やってみて感じたのは、大きな会社でなくても、AIツールと個人開発を組み合わせれば「候補を拾う→裏取りする→最終判断する」という編集部のような判断の流れは、自分の手元に作れるということだ。今回はそのうちの「裏取りする」工程を、読み取り専用のX担当としてAIに任せられるようにした。

大事なのは、すべてを自動化することではなく、どこを人間が見るかを先に決めておくことだと思う。調査・要約・候補整理はAIに寄せ、採用・公開・秘匿情報チェックは人間が握る。任せるのは作業、残すのは判断——この線引きさえ崩さなければ、自動化は怖くない。ずっと手が止まっていた「これ需要あるのかな」に、ようやく”確かめる担当”という手数がひとつ増えた。この記事自体が、その担当を初めて実戦に出したときの記録でもある。次にRadarが候補を拾ってきたら、その裏取りの結果を見て、ブログにするのか、Xで軽く出すのか、短い動画に向くのか、それとも今回は見送るのか。落ち着いて選んでいくつもりだ。

参考:ネタ選定と判断力を鍛える本

今回のように、AIに調査を任せても、最後に「何を記事にするか」を決めるのは人間です。ネタ選定、読者目線、判断力を鍛えるなら、以下の本が参考になります。

沈黙のWebライティング

読者に伝わる記事構成や、検索意図を意識した書き方を学びたい人向け。

具体と抽象

集めた情報を整理し、記事の切り口に変換する考え方を学びたい人向け。

人を動かす

読者が「読んでよかった」と感じる伝え方や、人に届く文章の土台を学びたい人向け。

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