AIに作業を任せるたび、「これ、勝手に公開されたりしないよな」と一瞬手が止まる。ブログの自動化を進めていた私が、いちばん引っかかっていたのはそこでした。
下書きの作成も、画像の投入も、チェックもAIに任せられる。でも、もし間違って「公開」まで実行されたら、未完成の記事が世界に出てしまう。この不安があるうちは、便利なはずの自動化を安心して回せませんでした。
結論から言うと、私はWordPressの自動化を「公開できない形」で作り直しました。自動化ができるのは下書きまで。公開だけは、人間が対象の記事IDを指定して明示的に指示したときにしか動かない。この記事は、その設計に落ち着くまでの話です。なお、私はWordPressの操作をAIに書かせた自作スクリプトで自動化しており、この記事はその運用での話ですが、考え方自体はどんな自動化にも持ち出せるはずです。
怖かったのは「失敗」ではなく「取り返しのつかない失敗」
私はブログの記事作成を、本文の執筆・レビュー・事実確認・WordPressへの下書き投入までを役割分担でこなす、いわば「AIの編集部」のような仕組みに任せています。
運用してみて気づいたのは、失敗の種類によって怖さがまったく違うことでした。下書きの本文が崩れても、作り直せば済みます。カテゴリー設定を間違えても、直せば終わりです。でも「公開」だけは違う。未完成の記事が読者の目に触れ、検索エンジンに拾われ、SNSに流れる可能性がある。あとから消しても、見られた事実は消えません。
つまり、自動化で本当に守るべき一線は「公開かどうか」の一点だと分かりました。
「気をつける」ではなく「できない形にする」
最初のうちは、「公開しないように注意する」というルールの書き方をしていました。でも、AIへの指示文で「〜しないでください」と念押しする方式は、どこか心もとない。実際、私の運用ルールには「チェック通過は公開指示ではない」「『公開できる状態です』という報告では公開しない」という一文まで書き足しています。ここまで言葉を重ねたこと自体が、言葉だけの防御に不安があった証拠でした。
そこで方針を変えました。お願いするのではなく、操作スクリプト側を「公開できない作り」にする。下書きを保存する処理には、投稿の状態を「下書き」として送る値を直接書き込みました。つまり、このスクリプトを通す限り、結果は下書きにしかなりません。
公開は、まったく別の専用処理に分けました。こちらは投稿の状態だけを変更するもので、本文もタイトルも画像も一切触りません。そして、この処理が動く条件はひとつだけ。私が「この記事IDを公開して」と、対象を特定して明示的に指示したときだけです。
下書き専用にするためにやった3つのこと
具体的には、次の3つを固定しました。
1つ目は、書き込み系の処理をすべて「下書き固定」にすることです。保存する前に投稿の状態が下書きであることを確かめ、保存の方法自体も公開操作を含まない形に限定し、保存したあとにも公開へ変わっていないことを確かめる。1回の保存に、3重の安全確認をかける作りにしています。
2つ目は、実行前の確認を必ず挟むことです。WordPressに書き込む処理は、まず「事前確認モード」で動かします。対象の記事ID、現在の状態、これから変わる内容、そして公開操作をしないことまでを確認し、この時点ではWordPressへの書き込みは行いません。登録済みの短縮コマンドでは、この検査に問題がなければ同じフロー内で本実行へ進みます。異常が見つかった場合は書き込まずに停止し、すでに変更が入った後なら、定めた手順で元の状態へ戻します。
3つ目は、書き込んだあとに必ずWordPressから本文を取得し直して、想定どおりに反映されたかを確認することです。「書き込んだつもり」で終わらせず、実際の状態を突き合わせる。私の運用では下書き投入の完了条件を10項目に決めていて、その中には「公開されていないこと」「予約投稿になっていないこと」の確認も含まれています。

「チェック通過」は公開の合図ではない
もうひとつ、運用ルールとして決めたことがあります。公開前チェックに通っても、それは公開の指示ではない、ということです。
つい先日も、新しい記事が公開前チェックを通過しましたが、その時点では何も起きません。記事は下書きのまま残り、私が自分の目で読み直して、記事IDを添えて「公開して」と指示して、ようやく公開されました。公開の処理は投稿の状態だけを変え、終わったあとにタイトル・カテゴリー・タグ・アイキャッチ・本文・本文画像の6点が変わっていないことまで確認します。
この「一拍置く」があるおかげで、公開前に自分の目でもう一度記事を読む習慣が残ります。AIのチェックは頼りになりますが、最後に世に出す判断は自分の仕事として残したい。そこだけは自動化しないと決めています。

公開を封じたら、任せられる範囲が広がった
面白いのは、「公開できない」と決めてから、むしろAIに任せる範囲が広がったことです。
最悪のケースが「変な下書きができる」までなら、失敗してもやり直せば済みます。だから、本文の投入も、画像の差し込みも、アフィリエイトリンクの配置も、安心して自動化に回せるようになりました。以前は一つひとつ手元で確認しながら進めていた作業が、今は「下書きまで全部任せて、最後に自分が見る」という流れに変わっています。
自動化というと「できることを増やす」方向で考えがちですが、私の場合は逆でした。先に「できないこと」を固定したら、残りを全部任せられるようになった。ブレーキがしっかりしている車ほどアクセルを踏めるのと同じ理屈です。
まとめ:自動化の最初の一歩は「禁止事項の固定」でいい
WordPressの自動化を下書き専用にした話を書きました。ポイントは3つです。
書き込み処理は下書き固定にして、公開は別処理に分ける。実行前の事前確認と、実行後の反映確認を省略しない。そして、公開だけは人間が対象を特定して指示したときにしか動かさない。
AIに作業を任せたいけれど事故が怖い、という人は、任せる範囲を広げる前に「起きてほしくないこと」を1つ選んで、それが起きない形に仕組みを固定してみてください。私の場合それは「勝手な公開」でした。その一線さえ仕組みで守られていれば、残りの作業は驚くほど気軽に任せられるようになります。

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